生えかけの親知らずが痛くて仕方ありません!
僕は本当に本当に歯医者が苦手なので、虫歯にならないよう毎日サボらず歯磨きをしっかりやっているんですけど、親知らずとかいう望んでもいないガチャ要素のせいで歯医者に確定で行かなければならない口内環境になってしまう可能性があるの本当にひどいと思う。
痛みを軽減させる方法を調べていたら、もともとあった奥歯に対して親知らずがほぼ垂直に生えてきた……みたいな画像を見つけて怖くて泣いちゃった。こんな理不尽な世界が許せないよ。
大体何で二十歳そこそこになっていきなり口の中の一番奥に歯が生えてくるんだよ!!意味わかんないよ!!と思って調べてみたら、大昔の固い木の実とかを食べていた時代の名残で、食物をしっかりかみ砕けるように親知らずが生み出された、みたいな説を見かけました。
今令和の時代ですよ?そんな古い価値観はさっさとアップデートして社会や地球、野生生物と同様に人間の奥歯も持続可能な開発目標を掲げてほしいです。
親知らずに限らず、人間の体って結構意味の分からない要素が多いですよね。
しっぽの名残で尾てい骨が残っていて体育座りをするときに痛みを感じるし、そのくせ人体の中で最も攻撃を受ける確率の高い足の小指はいつまでたっても防御力を上げてくれないし、進化と退化のバランスがうまくいかないまま万物の霊長となってしまったのが我々人間なのです。
創作物には、不老不死を目指して怪しい実験を行う科学者が度々見受けられますけど、そんな人体の大型アップデートを目指す前に軽微な不具合を解消するべきなんじゃないかなと思います。
変な姿勢でくしゃみしたら体がピキっと痛むこととか、椅子に座っているときにおでこに指をあてられると重心が取れなくて立てなくなることとか。
逆に、親知らず撲滅のために日夜非合法な研究に勤しむマッドサイエンティストがいてもいいんじゃないでしょうか。ある意味狂気を感じますし……。
刑事である私は、ある連続誘拐事件の調査のためこの怪しい廃屋にやってきた。
誘拐事件の被害者とみられる人物の性別・職業・住まいに関連性はなく、ただ「20歳前後である」という点のみが共通していた。若い人間に恨みを持つ人物の仕業なのだろうか?
建物の中は長年放置されていたことを感じさせる埃の厚みと、まともに整理されていない資料で覆いつくされていた。
ざっと紙束に目を通してみたが、どうやら医学に関する研究論文が大半を占めている。異国語の、しかも専門用語ばかりが書かれた文章は私にはさっぱり理解できないが、まさかここで非合法な人体実験でも行われているというのか?
それにしてはやたらと歯科医療に関する記述が多かったような……。
犯人像に想いを馳せながら屋内を探索していると、散らかった床のなかで不自然に片づけられたスペースを見つける。……ビンゴ、地下へとつながる通路のようだ。
薄暗い下水道のような通路を懐中電灯の明かりを頼りに進んでいく。
足元のごつごつした感触に不快感を覚えふと床を見ると、白くいびつな形をした、石のような小さな物体が辺り一面に転がる様子が目に入った。
場の環境にあまりにもそぐわないため理解するのが遅れたが、この形と大きさ……間違いなく人間の歯だ。しかも奥歯ばかりが、通路内を埋め尽くさんばかりに散りばめられていた。
常軌を逸した光景を認識してしまった私は、思わず身震いした。
一体ここで何が行われているというのか……。
普通に怖くて面白そうな仕上がりになった。誰か続き書いてください。